黒字病院・赤字病院｜医師転職に役立つ情報サイト
このページでは、黒字病院、赤字病院の割合、施設数等のデータをもとに病院経営の実態についてまとめてみました。下記のデータのように平成22年～平成26年まで、赤字病院の比率は毎年増加しており、平成26年は約8割（77.8%）にまでなっているのがわかります。
黒字・赤字病院の数の割合
■黒字・赤字病院の数の割合（平成22年～平成26年）
※6月（1ヶ月分）の総損益差額からみた黒字・赤字病院の数の割合
出典：全国公私病院連盟 日本病院会 病院運営実態分析調査（平成26年調査）
※グラフと表は当サイト編集部で作成。
■開設者別に見た黒字・赤字病院の数の割合（平成26年6月データ）
出典：全国公私病院連盟 日本病院会 病院運営実態分析調査（平成26年調査）
※6月1カ月分の総費用と総収益の差額から黒字・赤字状況を判別した場合の病院数の割合
※法令に基づく病院決算時点での黒字・赤字とは異なる。
※グラフと表は当サイト編集部で作成。
■開設者別の施設数（平成26年）
自治体病院（358施設）
黒字：33施設（9.2％）
赤字：325施設（90.8％）
※但し、法令に基づく病院決算時点での赤字、黒字とは異なる。
その他公的病院（186施設）
黒字：62施設（33.3％）
赤字：124施設（66.7％）
私的病院（101施設）
黒字：48施設（47.5％）
赤字：53施設（52.5％）
上記のデータを見ると、特に自治体病院における赤字の割合が9割と高い水準であることが読み取れます。
診療報酬制度と病院経営
日本の医療制度は下記のような特徴があります。この中で、特に病院経営には、診療報酬制度が大きく関係してきます。
【日本の医療制度の特徴】
（患者側）
- 国民皆保険
- フリーアクセス
（開設者側）
- 診療所の自由開業医制（※病院の開業には制限有）
- 診療報酬制度
- 包括支払制度
■病院の経営は診療報酬等に影響されています。
日本の医療は診療報酬制（出来高払い）が主のため、政府の診療報酬改定でマイナス（引き下げ）の場合とプラス（引き上げ）の場合とでは、病院経営に大きな差が生じます。（診療報酬以外にも、国から自治体への交付金や補助金等の影響もあります。）
例えば、診療報酬本体がマイナス改定した2002年（平成14年）、2006年（平成18年）は、赤字病院の件数が増えており経営状態が悪化している。ちなみに倒産件数はマイナス改定の翌年2007年に過去最多の18件でした。
- （平成14年）：黒字病院 21.9%／赤字病院 78.1%
- （平成18年）：黒字病院 27.2%／赤字病院 72.8%
また、民主党政権時、診療報酬本体がプラス改定した2010年（平成22年）は赤字病院は減少して黒字病院が増えている。
- （平成22年）：黒字病院 39.4%／赤字病院 60.6%
◎診療報酬制度の今後の方向性
政府（厚生労働省）は、診療報酬制度を今の「出来高払い」から「定額・包括払い」に移行して、できるだけシンプルな診療報酬体系にしたい考えのようです。
■診療報酬制度（出来高払い方式）
《売上管理重点主義》
・売上金額重視
・請求漏れが無いように対策
・減点対策
■診療報酬制度（包括払い・DPC方式）
《経費・コスト管理重点主義》
・損益金額重視
・経営効率化
・診療標準化
※DPC=Diagnosis Procedure Combinationの略
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