医師転職の時に気になる病院・診療所の経営状態

病院経営が気になる医師イメージ

 

一般企業における転職の場合に、まず、転職希望先の経営状態が大丈夫かどうかをチェックすると思います。ここでは、病院、診療所・クリニックでの転職の場合に気になる、国内の医療施設の経営状態にスポット当ててデータを検証してみました。

 

最近の「新型コロナウイルス感染症の病院経営への影響」をはじめ、全国の「病院の黒字・赤字の割合」、「病院、診療所の倒産状況」と「休業・廃業・解散の状況」などについてまとめましたのでご覧ください。

 

 

病院イラスト

 

 

新型コロナウイルス感染症の大学病院経営への影響

 

私立計82大学136病院(分院含む)の経営状況について

全国医学部長病院長会議の発表資料によると、私立大学病院(82校 136病院)の経営状況(分院を含む)は、2020年4月と5月の2ヶ月で約313億円赤字であった。主な要因は、新型コロナの患者受け入れに伴う負担増と患者減少。

 

【2020年4月】

(収入 2,337億円−費用 2,528億円)=▲191億円

 

【2020年5月】

(収入 2,118億円−費用 2,240億円)=▲122億円

 

  • 2020年4月
  • 収入:2,337億円(10.1%減)
  • 費用:2,528億円(0.2%増)
  • 収支:-191億円

 

  • 2020年5月
  • 収入:2,118億円(16・1%減)
  • 費用:2,240億円(4・2%減)
  • 収支:-122億円

※( )内は前年同月比

 

出典:全国医学部長病院長会議(2020年7月20日発表資料)

 

全国医学部長病院長会議
会員大学80大学および全国の医学部長、医科大学長、医学群長、医学類長、学校長、大学病院の院長、大学附属病院長、統括病院長、院長により構成されている団体(一般社団法人)です。

 

>>全国医学部長病院長会議について

国内全企業と病院の赤字割合の比較

企業全体の赤字割合が約70%に対して、医療機関の赤字割合は病院全体77.8%、自治体病院90.8%(平成26年)と高い割合を推移しています。

 

■国内の全企業の約7割は赤字企業
日本国内には約421万社の企業があります。そのうち、中小企業の割合は99.7%で従業者数69%を占めます。赤字企業の割合は、全企業の約70%になっています。(赤字企業の割合の殆どが中小企業。)

【日本国内の企業数と従業者数】

  • 日本国内の企業数:421万社
  • 大企業:1.2万社(0.3%)
  • 中小企業:419.8万社(99.7%)

 

  • 日本国内の従業者数:4,013万人
  • 大企業:1,229万人(31%)
  • 中小企業:2,784万人(69%)

出典:経済産業省 工業統計表・企業統計調査2006年

 

■病院の黒字・赤字数の割合(平成13年〜平成26年)
前回もチェックしましたが、黒字病院・赤字病院の割合を再度見てみましょう。
※6月(1ヶ月分)の総損益差額からみた黒字・赤字病院の数の割合
病院の経営状態グラフ

 

病院の経営状態表
出典:全国公私病院連盟 日本病院会 病院運営実態分析調査(平成26年調査)
※グラフと表は当サイト編集部で作成。

 

【病院が赤字倒産になりにくい理由】
病院の場合は、固定資産が多いので、減価償却費が大きく、現金が残りやすい為。損益計算書は赤字でも、キャッシュフロー計算書が黒字になっている為。

 

◎必要利益額>(借入金返済額+納税額−減価償却費)

 

反対に黒字でも倒産する会社の場合、問題はキャッシュフローです。
つまり、資金繰りが悪化して倒産するのがこのケースです。

 

病院の土地などが優良資産である場合、銀行が融資に応じる為。
病院は社会保険が70%保険適用のため、貸し倒れ率は30%と低く抑えられる。

 

黒字決算なのに倒産したり、赤字決算なのに倒産しない理由は、会計上の収入と支出が、現金の入金と出金と一致していないことが原因。

医療機関の倒産件数

医療機関(病院:診療所)の倒産状況はどうでしょう。データを見てみると、医療機関の倒産件数は、医療機関全体の施設数からすると少なく下記のように少し減少傾向にあります。
医療機関の倒産件数グラフ

 

【国内の医療施設数】

  • 施設名:施設数(前年対比)
  • 日本国内の医療施設:177,769施設(578施設増加)
  • 病院:8,540 施設(25施設減少
  • 診療所: 100,528 施設(376施設増加)
  • 歯科診療所:68,701施設(227施設増加)

出典:厚生労働省データ・医療施設調査(平成25年10月1日現在)
※グラフは当サイト編集部で作成。

医療機関の休業・廃業・解散件数

先ほどの医療機関の倒産件数は、全体の施設数の割合からすると低い割合で推移しており、減少傾向もみられます。
しかし、ここで注目すべき点は、医療機関の休業・廃業・解散件数です。

 

特に診療所の休業・廃業・解散件数は、ここ数年増加しています。病院、歯科医院も2012年〜2014年の3年間では少し増加傾向にあります。
医療機関の休業廃業件数グラフ
  ※グラフは当サイト編集部で作成。

 

■医療機関の休業・廃業・解散件数/平成26年(2014年)
上記のデータを比較すると、倒産は減少しているが、病院、診療所・クリニックの休業・廃業・解散件数は増加しており、平成26年以降の推移も気になる状態です。
>>病院の休廃業の原因

  • 施設名:施設数(前年対比)
  • 病院:30件(9件増加)
  • 診療所:271件(25件増加)
  • 歯科医院:46件(5件増加)

---------------------------------------

  • 合計:347件(39件増加)

---------------------------------------

  • 合計数内訳
  • 休廃業:239件
  • 解散数:108件

おすすめ医師転職サイトTOP3

【推奨】病院・クリニック・診療所の医師転職サイト
今回は、病院・診療所・クリニックの経営状態がテーマでした。医師転職の際に、希望する病院の経営状態は気になるチェックポイントですね。そんな時は、医療業界に精通したプロの転職コンサルタントに相談してみるのが一番です。

 

大病院、総合病院、一般病院から診療所・クリニック・医院まで様々な医療機関の非公開データや医師求人募集情報が豊富にある転職エージェントです。
おすすめ医師転職サイトTOP3社
担当コンサルタントが転職の相談・アドバイスをしてくれます。まずは下記の実績&人気のある3社の無料登録からスタートしてみてはいかがでしょう。

上記無料公式サイトに登録すると、好条件の非公開求人情報をはじめコンサルタントの相談など全てのサービスが無料で気軽にご利用できます。
※厚生労働大臣から許可を得た事業者ですので安心してご利用ください。
(キャンセル可・上記3社共登録して比較するのが効率的です。)

 

 

 

【よく読まれているコンテンツ】

 

>>病院・診療所の経営状態

 

>>病院の休廃業の原因

 

>>医療の離職率・有効求人倍率

 

>>おすすめ医師転職ランキング