医師の派遣について(労働者派遣法/災害派遣医療チーム)
今回のテーマは、「医師の派遣」についてです。派遣と言っても使われるシーンによって内容は様々です。例えば、(1)労働者派遣法における医師派遣について。(2)災害派遣医療チームの派遣について(3)医局の派遣 等。
労働者派遣法における医師派遣について
病院・診療所等における医療関連業務
医師、歯科医師、薬剤師の調剤、保健婦、助産婦、看護師・准看護師、栄養士等の業務は原則、派遣は禁止されています。
※労働者派遣法:(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)
労働者派遣が禁止されている医療関係業務の中から、抜粋して表にしました。
労働者派遣が禁止されている医療関係業務(抜粋)
労働者 |
業務内容 |
禁止されている業務の場所 |
---|---|---|
医師 | 医業 | 病院・診療所、助産所、介護老人保健施設、医療を受ける者の居宅 |
歯科医師 | 歯科医業 | 病院・診療所、介護老人保健施設、医療を受ける者の居宅 |
薬剤師 | 調剤業務 | 病院・診療所 |
看護師・准看護師 | 療養上の世話・診療補助*1 | 病院・診療所、助産所、介護老人保健施設、医療を受ける者の居宅 |
保健師 | 保健指導*2 | 病院・診療所、助産所、介護老人保健施設、医療を受ける者の居宅 |
助産師 | 助産、保健指導*2 | 病院・診療所、助産所、介護老人保健施設、医療を受ける者の居宅 |
※病院・診療所:障害者支援施設、生活保護法に基づく救護施設・更正施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム等に設置された診療所は含まない。
※業務内容(看護師、保健師、助産師):訪問入浴介護・介護予防訪問入浴介護に関連するものは除く。
※出典:厚生労働省データ、表は当サイト編集部で作成
▼ここがポイント
ただし、下記の場合は、医師や医療関係業務に労働者派遣を行うことが認められている。
◯紹介予定派遣の場合
⇒※紹介予定派遣とは、一定期間派遣で働いてから正社員・パートとして採用される仕組みのこと。
◯産前産後休業、育児休業、介護休業を取得した労働者の業務である場合
・医療関係者が福祉関係の施設で仕事をする
・介護であれば派遣しても法律上は問題ない
・法律上、介護は医療関係の業務には該当しない
◯医師の派遣労働者の就業の場所が下記に該当する場合
・ へき地(*1)にある場合
・ 地域における医療の確保のためには医業に派遣労働者を従事させる必要があるとして厚生労働省令で定める場所(*2)である場合
(*1)厚生労働省令により指定された地域。
(*2)厚生労働省令で定める場所とは
(A)都道府県が医療法第30 条の12 第1 項の協議を経て派遣労働者を従事させる必要があると認めた病院又は診療所で、厚生労働大臣が定めるもの(現在は無し)。
(B)上記の病院等に係る患者の居宅
※詳細は厚生労働省資料でご確認ください。
※出典:一般社団法人 日本人材派遣協会、厚生労働省データ
医療業界において、看護師の派遣、薬剤師の派遣は実際に派遣許可を取得した派遣会社が行っていますが、当サイト編集部で調べたところ、医師の場合は派遣ではなく医師紹介会社に登録して行う常勤、非常勤(アルバイト含む)が殆どのようです。また、よく医療業界で使われている、「医局の派遣」というのは、人事上の派遣という言葉を使用しているだけであって、派遣業とは全く別の意味で使用されている。
災害派遣医療チームの派遣 (JMAT・DMAT)
2017年7月の九州北部豪雨(福岡県朝倉市)の時や、2016年4月熊本地震の時には、災害派遣医療チームが現地に派遣されました。
■日本医師会は、、九州北部豪雨で大きな被害の出ている福岡県朝倉市にJMAT(日本医師会災害医療チーム)を2チーム派遣した。(2017年7月12日発表)
■熊本県を中心とした相次ぐ地震で、熊本県は19日までに日本小児科学会へ医師の派遣を要請した。(2016年4月)
日本医師会災害医療チーム(JMAT)
日本医師会により組織される災害医療チーム。急性期の災害医療を担当するDMATが3日程度で撤退するのと入れ替わるようにして被災地の支援に入り、現地の医療体制が回復するまでの間、地域医療を支えるための組織である。
東日本大震災における医療支援活動でも、このJMATは重要な役割を果たした。
※JMAT(Japan Medical Association Teamの略)
災害派遣医療チーム(DMAT)
MATとは災害急性期に活動できる機動性を持った トレーニングを受けた医療チームのこと。
医師、看護師、業務調整員(医師・看護師以外の医療職及び事務職員)で構成され、大規模災害や多傷病者が発生した事故などの現場に、急性期(おおむね48時間以内)に活動できる機動性を持った、専門的な訓練を受けた医療チーム。
※DMAT:Disaster Medical Assistance Teamの略
■災害派遣医療チームの主な出動実績(抜粋)
- 九州北部豪雨(2017年7月)
- 熊本地震(2016年4月)
- 台風第18号に伴う関東・東北豪雨災害(2015年9月)
- 御嶽山噴火災害(2014年9月)
- 豪雨による広島市の土砂災害(2014年8月)
- 台風第26号に伴う伊豆大島土砂災害(2013年10月)
- 中央自動車道笹子トンネル内崩落事故(2012年12月)
- 東日本大震災(2011年3月)
- 岩手・宮城内陸地震(2008年6月)
- 秋葉原通り魔事件(2008年6月)
- 新潟県中越沖地震(2007年7月)
- 北海道佐呂間町竜巻災害(2006年11月)
- JR羽越本線脱線事故(2005年12月)
- JR福知山線脱線事故(2005年4月)
- 新潟県中越地震(2004年10月)
■災害派遣医療関連チーム(抜粋)
- 日本医師会災害医療チーム(JMAT)
- 災害派遣精神医療チーム(DPAT)
- 東京DMAT
- 大阪DMAT
- 神奈川DMAT
- 埼玉DMAT
- 横浜市YMAT
出典:DMAT事務局、ウィキペディア
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